Webサイトを作るとき、「WordPressを使うべきか、それともゼロからコーディングするべきか」と迷うことがあります。
Redditでも、小規模事業者向けのWebサイト制作を考えている投稿者から、WordPressを学ぶべきか、コーディングによって一から制作するべきかという質問が寄せられていました。
参考:WordPress vs coding websites from scratch(Reddit)
コメントでは、WordPressとコーディングを二者択一で考えるのではなく、案件の目的に応じて使い分けるべきという意見が多く見られます。
自動アップデートを利用すれば、手作業を減らすことはできます。ただし、更新後に問題が起きていないかを確認する方法や、問題が発生した場合に元へ戻せるバックアップなど、運用の仕組みは整えておく必要があります。
私自身も、最初に決めるべきなのは使用する技術ではなく、そのWebサイトによって何を解決したいのかだと考えています。
技術より先に「何を解決するか」を考える
Webサイト制作では、使ってみたい技術や得意な方法から考えてしまいがちです。しかし、先に確認したいのは、サイトを作る目的と公開後の運用です。
たとえば、次のような点を整理します。
- どのくらいの期間、公開するのか
- 公開後に内容を更新するのか
- 誰が更新するのか
- ブログやお知らせを掲載するのか
- 将来、機能を追加する可能性があるのか
更新する予定がなく、短期間だけ公開するサイトなら、管理画面を備えたCMSは必要ないかもしれません。一方、顧客自身が情報を追加していくなら、更新しやすい仕組みが必要です。
制作者にとって作りやすいかだけでなく、公開後に誰がどのように扱うのかまで考えることで、適した技術を選びやすくなります。
静的サイトとWordPressの使い分け
「ゼロからコーディングする」という言葉には幅がありますが、ここではAstroなどを使って構築する静的サイトを例に考えます。
静的サイトは、短期間だけ公開する案内ページや、完成後にほとんど内容を変更しないサイトに向いています。CMSを設置しないため、構成をシンプルにしやすく、WordPress本体やプラグインの更新も必要ありません。
一方で、内容を変更するたびにソースコードの編集や再公開が必要になる構成では、顧客自身で更新するのが難しくなります。更新を制作者に依頼する運用もできますが、小さな修正のたびに連絡や作業が発生します。
お知らせ、ブログ、事例、商品情報などを継続して掲載するなら、WordPressが有力な選択肢になります。管理画面から内容を追加できるため、HTMLを直接編集できない人でもサイトを運営しやすくなります。
WordPressは頻繁に更新するサイトだけのものではありません。固定ページを中心とした企業サイトや店舗サイトにも利用できます。現在は更新の予定がなくても、将来ブログを始めたり、ページを追加したりする可能性があるなら、最初からWordPressを採用する意味があります。
短期間の公開や更新を必要としないサイトなら静的サイト、公開後も顧客自身が育てていくサイトならWordPressというのが、ひとつの分かりやすい判断基準です。
WordPressを選ぶメリットと保守の必要性
WordPressの大きなメリットは、Webサイトを公開して終わりにせず、その後も情報を蓄積していけることです。
お知らせや記事を管理画面から投稿でき、画像や文章の修正も比較的簡単に行えます。テーマやプラグインを利用すれば、問い合わせフォームやSEO設定など、Webサイトに求められる機能も追加できます。
ただし、WordPressにはシステムとしての保守が必要です。
WordPress本体だけでなく、テーマやプラグインにも更新があります。安全に運用するためには、アップデート、バックアップ、セキュリティ対策、不具合の確認などを継続しなければなりません。
管理画面から更新できる便利さを得る代わりに、システムそのものを維持する作業が発生するという点は、WordPressを選ぶ前に理解しておきたいところです。
WordPressとコーディングの両方から学べる
学習という視点では、WordPressとコーディングのどちらか一方に限定する必要はないと思います。
WordPressを使う場合でも、HTMLやCSS、JavaScript、PHPなどの知識は役立ちます。基礎的な仕組みを理解していれば、デザインの調整や不具合の原因調査、独自機能の追加にも対応しやすくなります。
反対に、静的サイトを作る場合でも、WordPressから学べることがあります。
現在のWebサイトには、スマートフォンへの対応、SEO、表示速度、アクセシビリティ、構造化データなど、さまざまな要求があります。WordPress本体やテーマ、プラグインには、それらへ対応するための実装が数多く含まれています。
私自身、SEOやAMPについてはWordPressを通じて多くのことを学びました。静的サイトを作る場合にも、WordPressがどのようなHTMLを出力し、どのような情報を検索エンジンへ伝えているのかを調べることが参考になります。
静的サイトで同じ表現や機能を実現したいとき、WordPressの実装を手本にすることもできます。
最初に学ぶものを選ぶなら、自分の心が惹かれる方から始めるのがよいと思います。興味を持てる技術の方が、学習の速度も継続しやすさも大きく変わるためです。
そのうえで、「WordPressではこれはどう実現しているのだろう」「静的サイトならどのように作れるのだろう」と疑問を持った部分から、もう一方へ学習を広げていく方法があります。
まとめ:目的と運用に合う方法を選ぶ
WordPressと静的サイトは、どちらかが常に優れているものではありません。
短期間だけ公開し、更新を必要としないサイトなら、静的サイトで十分な場合があります。顧客自身が継続して更新し、情報を蓄積していくなら、WordPressは有力な選択肢です。必要な機能や運用方法によっては、ほかのCMSやSaaSが適していることもあります。
大切なのは、使用する技術を先に決めるのではなく、Webサイトで何を解決したいのかを明確にすることです。
公開後の更新や保守まで含めて考え、その目的に合った仕組みを選ぶ。それが、無理なく継続できるWebサイトを作るための基準になります。
コメントを残す